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平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要のまとめ

みなさんこんにちは。おいしい健康管理栄養士の内山です。

おいしい健康では、皆さんに安心してご利用いただくために、エビデンスに基づいてサービスの開発を行っています。

令和2年1月14日に、厚生労働省から平成30年「国民健康・栄養調査」の結果が公表されました。今回の特徴を簡単にまとめます。

 

 国民健康・栄養調査とは

調査目的

この調査は、健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を
図るための基礎資料を得ることを目的としています。

 

調査対象

2018年11月に実施。

2018年国民生活基礎調査から層化無作為抽出した300単位区内の全世帯・世帯員で、

調査対象世帯数は5,032世帯。

集計数は身体状況調査6,234人、生活習慣調査6,554人でした。

今回の調査の特徴

所得別生活習慣状況の比較/加熱式タバコ使用状況調査の実施

今回の調査では、所得別生活習慣状況の比較と加熱式タバコの使用状況調査を実施しています。

下記に、主な項目について結果をお示しします。

所得別生活習慣状況の比較

食事
食品群別摂取量
  • 食塩:世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満の世帯員で有意に少ない。
  • 野菜:世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満及び 200 万円以上 400 万円未満の世帯員で有意に少ない。
  • 果物:果物摂取量が 100g 未満の者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、女性では 200 万円未満の世帯員で有意に高い。
  • 肉類、乳類:肉類、乳類の摂取量は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男女ともに 200万円未満の世帯員で有意に少ない。
飲酒習慣
  • 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満及び 400 万円以上 600 万円未満の世帯員で有意に低い。
喫煙習慣
  • 現在習慣的に喫煙している者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満及び 200 万円以上 400 万円未満の世帯員で有意に高く、女性では 200 万円未満の世帯員で有意に高い。
食生活状況
  • 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度が「ほとんど毎日」と回答し た者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男女ともに 200 万円未 満の世帯員で有意に低い。また、「ほとんどない」と回答した者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男女ともに 200 万円未満の世帯員で有意に高い。

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(出典:厚生労働省)
その他
  • 睡眠による休養が十分にとれていない者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、女性では 200 万円未満の世帯員で有意に高い。
  • 歩数の平均値は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満の世帯員で有意に少なく、女性では 200 万円未満、200 万円以上 400 万円未満及び 400 万円以上 600 万円未満の世帯員で有意に少ない。

加熱式タバコ仕様状況調査の実施

  • 現在習慣的に喫煙している者の割合は 17.8%であり、男女別にみると男性 29.0%、女性8.1%である。この 10 年間でみると、いずれも有意に減少している。
  • 現在習慣的に喫煙している者が使用しているたばこ製品の種類は、「紙巻きたばこ」の割合が男性 77.0%、女性 84.9%であり、「加熱式たばこ」の割合が男性 30.6%、女性 23.6%である。
  • たばこ製品の組合せについて、「紙巻きたばこのみ」「加熱式たばこのみ」「紙巻きたばこ及び加熱式たばこ」の割合は、男性では 68.1%、22.1%、8.5%であり、女性では 76.1%、14.8%、8.8%である。

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(出典:厚生労働省)

その他の集計結果

就業時間と生活習慣等に関する状況

  • 1週間の平均的な就業時間と生活習慣等に関する状況は、就業時間が週に1~39 時間の者は、男女ともに健診を未受診の者の割合が高く、就業時間が週に 60 時間以上の者は、男女ともに肥満者の割合が高い傾向にある。

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(出典:厚生労働省)

食品を選択する際に重視する点(20 歳以上、性・年齢階級別)

運動習慣者の状況

  • 運動習慣のある者の割合は、男性で 31.8%、女性で 25.5%であり、この 10 年間でみると、男性では有意な増減はなく、女性では有意に減少している。年齢階級別にみると、その割合は、男女ともに 20 歳代で最も低く、それぞれ 17.6%、7.8%である。

睡眠の状況

  • ここ1ヶ月間、睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は 21.7%であり、平成 21 年からの推移でみると、有意に増加している。
  •  1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性 34.5%、女性34.7%である。6時間未満の者の割合は、男性 36.1%、女性 39.6%であり、性・年齢階級別にみると、男性の 30~50 歳代、女性の 40~60 歳代では4割を超えている。

【参考文献】